このページのポイント
- 散気管(特にポーラスディフューザー)の酸素溶解効率は、排水で大幅に低下する
- 下水では 40〜60% 低下、産業排水では 70〜80% 超も低下します
- OHR エアレーターは排水でも効率が低下しません。悪条件の排水であるほど、高効率を発揮します。
“高効率散気管”は実際は存在しない!
産業排水では酸素溶解効率が70〜80%超も低下する
清水での高い酸素溶解効率を競う時代はとうの昔に終わり、実際の使用環境(排水処理の曝気槽)における効率で評価する時代に入っています。
自動車の実燃費と公称値(カタログ燃費)には差がありますが、それとは比べものにならないほど、散気管(特にポーラスディフューザー)の実効率と公称値には乖離があります。
もし自動車で、カタログ燃費が20 km/Lなのに実燃費が8〜12 km/L、あるいは4〜6 km/Lだったら大問題になります。しかし散気管では、実際にそれほどの大差が生じます。
さらに要注意なのが、自動車ではカタログ燃費が高いほど実燃費も良い傾向がありますが、散気管ではそれが真逆である点です。つまり、清水条件で高い効率を示す散気管ほど、排水での効率が著しく下がります。
散気管の真の実力は、アルファ値で判定する
産業排水では酸素溶解効率が70〜80%超も低下する
酸素溶解効率の測定は、不純物がほとんど含まれていない清水(水道水などのキレイな水)でおこないます。
しかし散気管の主用途は「排水浄化」であり、清水で使われるわけではありません。
全世界で通用する共通の評価基準として仮に清水でデータをとるわけですが、その他に散気管の性能を端的に示す数値がないため、酸素溶解効率だけが過度に重視されています。
しかし本当は、排水における実際の効率で選ぶ必要があります。
清水条件での効率が、実排水においてどれほど低下するのかを示す係数がアルファ値です。次式で定義されます。
KLa (総括酸素移動容量係数)は、水中に酸素がどれくらいの速さで溶け込むかを表す指標です。
仮にアルファ値が0.4であれば、清水での効率が60%低下する、という意味です。
アルファ値は排水の種類のみならず、散気管の種類によっても変わりますが、世界中で研究されてきたのが下水処理場におけるポーラスディフューザーのアルファ値です。ここでは代表的な技術資料・レポートを3つご紹介します。
| 出典 | アルファ値 |
|---|---|
| 米国環境保護庁(EPA)の設計マニュアル | 0.4〜0.6 |
| 米国水環境連盟(WEF)の設計マニュアル | 0.45〜0.65 |
| 各種散気装置における酸素移動効率およびアルファ値の評価 Groves et al. (1992) | 0.3〜0.65 |
「下水」の BOD や MLSS 濃度はかなり薄いですが、その比較的易しい条件であっても、清水と比べて約半分にまで効率が低下することが示されています。つまり仮に清水での効率が 30% であれば、下水では約 15% にまで落ちます。右の図のとおりです。
ちなみに、シンガポールの下水道当局の仕様書では、曝気槽の上流域のアルファ値は 0.23 と指定されていました。下水であっても効率が 77% もダウンすることがあり、清水での効率が 30% であったなら、それが 6.9% になってしまうということです。
下水処理場でゴム製散気管と比較された実例
OHRエアレーターは1/3も“低効率”のはずだが、同じ供給空気量で済んだ
ここで、当社が経験した実例をご紹介します。
●現場:国内の農業集落排水処理施設(小型の下水処理施設)
●従来使用の散気管:ゴム製ポーラスディフューザー
水深 5m 時の酸素溶解効率は約 30%(メーカー公表値)
目詰まりするため、1 年半ごとに交換
●更新内容:OHR エアレーターへの切り替え
水深 5m 時の酸素溶解効率は 9.5%
OHRエアレーターの効率は、このゴム製ディフューザーの約1/3です。
単純に考えれば、供給エアー量を3倍に増やさなければ処理できないはずです。
しかし丸一年間の実地運転の結果、以下のことが実証されました。
●従来と同じブロワーを使って、処理状態になんら変化が見られないこと
OHRエアレーターの方が通気抵抗が圧倒的に小さいため、その分がむしろ省エネになる
●槽内の隅々まで溶存酸素が行き渡っていること
OHRエアレーターが生み出す撹拌水流が強いことの証である
これは、ポーラスディフューザーの効率がOHRエアレーターと同等の値まで下がっていた、つまりポーラスディフューザーの効率は30%から9.5%ほどにまで落ちていた事実を示しています。アルファ値でいうと0.32で、BODやMLSSが濃くない条件であっても7割ほども酸素溶解効率が低下するケースがある、ということです。
一方で「産業排水」は、業種や製造品目によって含有成分が千差万別で、かつ日々の排水負荷の変動が激しいため研究対象として扱われにくく、レポート自体がほとんどありません。
しかし下水と比べて汚濁成分は数十倍、微生物濃度は数倍〜十数倍も濃いため、清水での効率は70〜80%超も低下することは明白です。
ある大手水処理会社は、対外的には自社散気管(ポーラスディフューザー)の効率を28%(水深5m時)と謳っていますが、社内での設計計算では7.5%を用いています。28%→7.5%で、73%もの大幅ダウンです。
この会社はさまざまな現場を手がけるなかで、清水での効率が排水では極端に低下する事実を知り、アルファ値:0.27を乗じて計算しないと酸素不足に陥ることを知っていたわけです。
30〜40%という高い酸素溶解効率を期待して産業排水の処理向けに“高効率散気管”を導入しても、80%も効率が低下したら6~8%になってしまいます。つまり30〜40%という値は、セールス活動上の“エサ”に過ぎないのです。
このような事実は、ユーザー側にはまったく知らされません。だからPRされている“高効率”に釣られて散気管を選んでしまい、期待とは裏腹に使用電力が増えたり、ポーラスディフューザーにつきものの目詰まり問題に苦しんでいる現場が多いのです。
目詰まりについては、別ページ「99%の散気管は目詰まりする」で詳しくご説明します。
なぜ排水では効率が大幅に低下するのか
含まれる多種多様な成分が、酸素の移動を阻害する
排水には多種多様な不純物(界面活性剤や油脂分、有機物など)が含まれています。さらに曝気槽では活性汚泥(大量の微生物群)と混ざり合いますから、微生物が分泌するEPS(Extracellular polymeric substances:細胞外高分子物質)と呼ばれる粘着性高分子物質や、バイオサーファクタント(Biosurfactants:生物界面活性剤)と呼ばれる界面活性剤成分も加わります。
これらの不純物にはバブル表面に集まりやすい性質があるため、瞬く間にバブル表面が覆われて酸素移動が阻害されるため、酸素溶解効率が低下します。
下のイメージ図をご覧ください。
ポーラスディフューザーは直径数ミリ程度の微細バブルを吐出します。バブルのサイズが小さいほど、表面積(気液界面積)が大きくなり、気相から液相への酸素移動が促進されるため、清水条件では効率が向上します。そこで、吐出バブルを小さくする方向で製品開発が進められてきました。
しかしバブルが小さくなって界面面積が増えるほど、界面汚染の影響を受けやすくなります。その結果、清水と排水の酸素移動効率の差が大きくなりやすく、従ってポーラスディフューザーのアルファ値の低下は著しくなります。
OHRエアレーターのアルファ値は、ほぼ1.0
つまり、排水でも清水時と同等の効率を示す
OHRエアレーターのアルファ値はほぼ1.0であり、清水と実排水とで変わりません。
その根拠は、以下をご覧ください。
OHRエアレーターの酸素溶解効率は、決して高くありません。
しかしポーラスディフューザーの酸素溶解効率が排水で急降下するのに対して、OHRエアレーターは効率をキープします。
そのため実際の使用環境(排水)で比較するとOHRエアレーターの方が高い効率を示すケースが多く、実際に省エネできた実績が豊富です。
実績例
アルファ値=1.0という、比類ない性能を発揮する理由
特殊構造体による強制的な気−液衝突で、不純物の影響を打ち消す
OHRエアレーターは世界12ヶ国特許の流体微細化機構によって、汚泥水とエアーを瞬時に微細粒子化し、その粒子群を互いに激しく衝突させます。
微細バブルをただ吐出するポーラスディフューザーとは根本的に異なる技術思想で設計されており、バブル表面が不純物に覆われる隙を与えず、気−液の界面をフレッシュな状態に保つ。
だからこそ、比類なきアルファ値=1.0が実現できます。
OHRエアレーターとポーラスディフューザー(ゴム製散気管)を運転して比較すると、OHRエアレーターの方が3.3倍以上も多く微細バブルを生成できます。動画でご確認ください。ミキシング力の強さを、視覚的にご理解いただけます。
OHRエアレーターのメカニズム










