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このページのポイント

  • ASCE/EWRI 2-22は、国際的に最も信頼されている酸素溶解効率の測定規格です
  • OHRエアレーターは同規格に基づいて測定済みで、自社測定値とほぼ同等の結果が得られました
  • 他方で、実際の効率がメーカー公表値より6〜7割も低い事例がありますので、要注意です

酸素溶解効率の国際基準!

ASCE/EWRI 2-22について詳しく解説

「酸素溶解効率」は、散気装置(散気管や曝気装置ともいう)の性能を示す重要な指標の一つですが、これを客観的かつ再現性よく評価するため、測定方法を標準化した代表的な規格が【ASCE/EWRI 2-22】です。
本規格は、米国土木学会(ASCE)の水資源・環境部門(EWRI)が策定したものであり、国際的に最も信頼されている規格の一つです。

当社ではかねてより自社測定の効率値を用いてきましたが、全世界で通用するデータを得るべく、欧州の第三者機関に依頼して、同規格の下でデータを取り直しました。その結果は自社測定値とほぼ同じで、自社測定値の信頼性を裏付けるものでした。現在ではASCE/EWRI 2-22に基づいた数値を計算に用いています。

ちなみに高効率を謳っている他社の散気装置は、公表値より6〜7割も低い効率しか示しませんでした。
日本にはASCE/EWRI 2-22のような統一規格がないため、「各社とも科学的に確かな方法でデータを取っているだろう」という性善説のもとで成り立っています。しかし意図してかはわかりませんが、不当に高い効率をPRしている会社がありますので要注意です。
測定時に間違えがちなポイントにつきましては、よくある質問をご確認いただくか、お問い合わせください。
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本規格は日本では標準ではないが、科学的に正しい測定手法を学ぶうえで最良の教材といえる!

次のセクションで詳述しますが、ASCE/EWRI 2-22は各測定手順を事細かに定めており、それに則れば、世界中のどこで誰が実施してもほぼ同じ結果が得られます。ただ日本では同規格は標準ではありませんし、認知すらされていません。
当社は外国向けにも数多く販売しているため、同規格に基づいた測定をおこないましたが、国内には同規格に準拠した測定を受託する機関はありませんから、測定のハードルは高く、費用もかさみます。

同規格が普及している欧米では、【ASCE/EWRI 2-22に準拠した性能試験レポートである】というだけで、一定の信頼性が担保されます。これに対し、日本では統一的な評価規格が整備されていないため、各社ごとに測定条件や手法が異なっているのが実態です。その結果、誤った手法でデータを取っている会社も出てきています。
したがって、公表されている効率をそのまま鵜呑みにするのではなく、測定レポートを取り寄せた上で、測定条件や手法を細部にわたりチェックすることが重要です。

ASCE/EWRI 2-22は、酸素移動現象に基づいた合理的な測定手順を体系的に示したものです。そのため、重要なポイントさえ押さえていれば、完全に準拠していなくても、かなり信頼できる結果が得られます。
本ページでは同規格の内容を解説することで、科学的に適切な測定手順をご理解いただき、各社が公表している酸素溶解効率が正しいプロセスで得られたものなのか見極める力を身につけていただくことを目的にしています。

ASCE/EWRI 2-22の測定環境と基本手順

ASCE/EWRI 2-22の試験手順は、以下のとおり規定されています。

Step1:タンクに清水を溜める

タンクに測定水位まで清水を張ります。

散気管は通常、排水処理のために用いられますが、排水中の不純物(有機物、懸濁物、微生物)の質・量は排出源ごとに千差万別です。
そこで、仮の統一的な基準として清水で測定します。これはASCE/EWRI 2-22に限らず、他の酸素移動試験でも同じです。
清水で取った酸素溶解効率が、排水においてどれほど低下するのかにつきましては、アルファ値とはなにかをご確認ください。

Step2:溶存酸素を下げる

試験開始前に、水中の溶存酸素を十分に低下させます。
規定されている方法は、以下の2つです。

● 硫酸ナトリウム法:
還元剤として亜硫酸ナトリウムを添加する方法。酸素と結合して硫酸塩が生成される。触媒として塩化コバルトも添加する。DOを槽内の全測定点で0.5mg/L未満に下げる必要あり。
● 窒素パージ法:
2022年度版(最新版)で追加された新手法。窒素ガスをバブリングして溶存酸素を置換する。薬品を使わずに済むため、副生成物が出ず、よりクリーンな測定が可能。亜硫酸ナトリウム法とは異なり、DOが1.0mg/L未満になった時点で曝気に切り替える。

Step3:曝気を開始し、溶存酸素濃度(DO)の時間変化を測定する

散気装置を稼働させ、DOが飽和値の98%以上に達するまで曝気し続けます。
その間の供給エアー量、DOの変化、水温などを時間とともに記録します。

DOはDO計による連続測定でも、ウィンクラー法(ヨウ素滴定)でも構いません。
ここではDO計を用いる場合の規定について、要点をまとめます。

  • DO測定は最低4点以上で実施する
  • 各測定点は槽内体積を代表するよう、鉛直および水平方向に分散配置する
  • 測定点は浅部・中層・深部を含むようにする
  • 壁・床・内部構造物および水面から十分に離して設置する(壁等から0.6m以上、水面からは槽最小寸法の10%以上を離す)。
  • DO計の電極は水流によって動かないように固定する

Step4:KLaを算定する

測定されたDOの時間変化データから、KLa(総括酸素移動容量係数)を算出します。その値は20℃で温度補正をおこない、KLa20に変換します。KLaの意味は、下の用語の解説をご覧ください。

Step5:同一条件で最低3回試験する

同一条件で試験を最低3回実施します。各測定点におけるKLa20の値は、平均値に対して±15%以内でなければなりません。この条件を満たした試験結果を有効データとします。

Step6:標準条件に補正する

各試験結果を標準条件に補正してSOTR(Standard Oxygen Transfer Rate)を算出し、その平均値を求めます。

標準条件:

  • 水温:20℃
  • 溶存酸素の飽和値:20℃、標準大気圧における値(約9.09mg/L)
  • 標準大気圧

また、水中のTDS(総溶解固形物)濃度の影響を考慮し、基準濃度(1000mg/L)に対応する飽和DO条件へ補正します。

Step7:SOTE(酸素溶解効率、%)の算定

SOTRを用いて、SOTEを算出します。

以上が、同規格に規定されている手順です。

酸素溶解効率は水深に大きく左右されますので、実際の試験では複数の水深ごとにデータを取ります。
つまり、測定水深ごとにStep1~7を繰り返す必要がありますので、かなりの時間と手間と費用がかかります。

用語の解説

本規格では次の4つの値の試験方法・計算方法を規定しています。

1.総括酸素移動容量係数 KLa
意味:液体に酸素がどれだけ移動しやすいかを示す指標
KLは液膜の酸素移動係数(移動のしやすさ)、aは気液界面積(気泡の表面積)を意味する
曝気装置や撹拌の性能を表す重要な値
単位:h-1
2.酸素移動速度 Oxygen Transfer Rate(OTR)
意味:単位時間あたりに液体へ実際に供給される酸素量
KLa ×(飽和DO – 実際のDO)
単位:kg/h
3.標準酸素移動速度 Standard Oxygen Transfer Rate(SOTR)
意味:標準条件(清水、20℃、大気圧条件)で測定したOTR
単位:kg/h
4.酸素溶解効率(酸素移動効率) Oxygen Transfer Efficiency(OTE)
意味:供給した酸素のうち実際に液体へ溶けた割合
単位:%